曲解説、第4弾です
「Do-Re-Mi」
大恐慌絶頂期の1930年代
グレートプレーンズ (Great Plains)
=北アメリカ大陸の中西部の農業地帯では
ダストボウル(土地の荒廃による砂嵐)によって多くの土地で農業が崩壊
農業機械技術の進歩、連邦の農業調整法による生産の縮小などにより
農家は離農を余儀なくされたそうです
プランテーションの所有者は小作人を追い立て
彼らの仕事の機会は地元にはほとんどなく
多くの人は、出稼ぎの農場労働者として働くために
比較的栄えていたカリフォルニア州へと
ルート66を通り移住していきました
移住は非常に大規模で
オクラホマ州では15%の人口が
カリフォルニア州だけではなく
カンザス州、テキサス州、ニューメキシコ州へ移住
その数は少なくとも30万から40万人
グレートプレーンズ全体では、350万人といわれています
この様子は、スタインベックの小説「怒りの葡萄」に詳しく書かれています
またこの小説を原作にした映画「怒りの葡萄」
(ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演)もありますので
興味のある方はぜひ、読むか、観るか、してみてください
さて、ようやくここから歌の話
Woody Guthrieによって作られたこの歌は
この1930年代、今まで生活してきた土地を離れ移住していく人たちに対して
警告しているような内容の歌詞です
Do-Re-Mi=ドレミとは、スラングで「お金」のことだそうです
多くの人々が故郷を離れ
砂嵐から逃げ出し、砂漠を越えて
暑く埃だらけの道をカリフォルニアへ向かう
でも、入管の警察は言う「あんたは今日14000人目だよ」
カリフォルニアはまるでエデンの園さ
だけど金(Do-Re-Mi)のない奴はきたってダメさ
とっとと帰ったほうがいいよ
たいした英語力はないので、怪しいですが
おおよそこんな内容のことが歌われています
曲はアップテンポで、どちらかといえばコミカル
それだけに悲惨な内容に驚かされます
カバーは、Ry Cooder、Bob Dylan、John Mellencamp
Arlo Guthrie、Nanci Griffith
最近では、Ani DiFranco、などなど
たくさんのミュージシャンが取り上げています
有名なところでは、高田渡さんが「銭がなけりゃね」と
歌詞を日本に置き換えて歌っています
細かいニュアンスは日本のものでも
内容はほぼ直訳に近いものだと思うので、こちらもおすすめです
最後にもうひとつ
最初の方に書いたダストボウル(土地の荒廃による砂嵐)は
あきらかに天災ではなく人災です
これは、第一次世界大戦の後に続く生産過剰のせいで
農家は利益を得るために、農業の開拓を限界まで引き上げるしかなく
何十年にもわたる不適当な農業技術による過剰なスキ込みによって草が除去され
日照りが続くと土は乾燥して、土埃になり吹き飛ばされていきました
土埃は雲となって、はるかシカゴの空まで黒くし
さらに東の、バッファロー、ボストン、ニューヨーク、
ワシントンD.C.にまで達したそうです
曲について、間違った記述などあれば
ご指摘いただけるとありがたいです


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